交差する想い

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. 《煌騎side》 「いい加減にしろ、クソ親父……」 親父に呼ばれて此方へとやって来たが、俺はかれこれ3時間以上もこの屋敷に留め置かれていた。 しかも緊急の用事とやらはまったくのデタラメだったようで、延々と奴の用意した酒の席に付き合わされている。 普段なら酔うほどに呑みはしない筈だが、今日の親父は饒舌なまでによくしゃべりよく呑む。 まるで何かを誤魔化しているようだ……。 その横で愛音は愛想良く鎮座し、親父に酌をしながらも笑顔を崩さずこちらをにやにやと眺めていた。 ―――気味が悪い……。この顔は絶対に何かを企んでやがる。 辟易しながら酒に付き合い、何度目かの杯を煽り俺は冒頭の悪態を吐く。 が、親父には堪えず尚も愛音に空いた俺の杯に酒を注ぐように言う。 それに頷いた愛音はススッと俺の傍らまで近寄ると、肩にしなだれ掛かるように身体を寄せて酌をした。 本人は気づいていないだろうがその姿ははっきりいって女郎のようだ。 「ねぇ、何をピリピリしてるの?お酒の席なんだからもっと楽しそうに呑みなさいよ。クスクス」 さも楽しげに俺の耳許へ真っ赤な唇を寄せ、小声で囁くように言う愛音……。 瞬時に全身を悪寒が走る。 今更ながらに己の失態を呪ったが後の祭り。 謀られたと知った時には既に遅く、俺は屋敷の奥に通された後だった。 いつものように外に連絡を取る手段も自ら警護の者に明け渡していた。 「チッ…………テメェ、何を企んでやがるっ」 「あら、失礼ね。今夜の宴はお祖父様が設けたものよ?クスクス」 俺が忌々しげに問えば、愛音はコロコロと鈴の音のように笑って身体を尚も擦り寄せてくる。 .
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