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決して深追いはしないという約束で許可したそれに、どうやら進展があったようだ。
「その噂というのがもう時期、蛇黒トップの常磐とNo.2の吉良が日本を離れると言うらしいんです。今その話題でチームは持ち切りだそうで……」
虎子が言うには彼女たちの間にまでその噂が浸透し、解散の危機かと真しやかに囁かれているという。
それを聞いて漸く俺は合点がいく。
問題を起こしても初めから海外に行くつもりなら、迷わずデカイ事が出来る。
もしくはその逆か……。
どのみち奴は親の権力を駆使して事件を揉み消し、ほとぼりがさめるまで身を隠す算段なのだろう。
ならばチィはこのまま奴と一緒に、海外へと連れ出されてしまう危険性がある。
――そんな事この俺が絶対にさせない……ッ!!
漆黒の海を睨み付けながらそう決意し、直ぐ様チーム全体にチィ捜索の伝令を出す。
「些細な事でも逐一俺に報告しろ!あと和之が戻り次第、直ぐに俺のところへ来るよう伝えてくれッ!!」
「――はいっ!了解ッス!!」
大地はまるで軍人のように敬礼をすると脱兎の如く、伝令役としてバイクに跨がりその場を去っていった。
変わった奴だと暫し俺は呆然とその後ろ姿を眺める。
「………と、こんな事している暇はない。一刻も早く倉庫へ帰らないと!」
そう思い立った俺は大地と同じように素早く単車に跨がると、俺たちの溜まり場である倉庫へと向かった。
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