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しかし終始和やかに挨拶を交わしていた矢先に、虎汰の隣りに座る赤い髪の男の人が突然怒り出してしまった。
「虎汰ッ!テメェは年功序列って言葉を知らねーのかよっ!!」
自分よりも先に挨拶したのが気に入らなかったのか、彼はいきなり虎汰の襟元を締め上げ始める。
男の子のケンカを初めて目の当たりにした私はびっくりして目を見開いてしまった。
けどこちらの心配をよそに首を絞められた当の虎汰は、全然平気そうな感じで素知らぬ顔をする。
「うっわ、意外っ!? 流星が“年功序列”なんて難しい言葉知ってた……」
「……テメェ、マジでブッ殺ス!!」
虎汰の一言であわや一触即発な空気になり、私は泣きそうになりながらオロオロした。
でも周りの人たちはそんな私を見てクスクスと笑い、誰もそのケンカを止めようとしない。
「はいはい。二人共、先進まないから後でやってくれる?」
そこへ呆れ顔で仲裁に入ったのは、意外にもあの無口な茶髪の男の人だった。
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