1036人が本棚に入れています
本棚に追加
/325ページ
.
このままでは報復に走る者も出兼ねない。
それほどまでに今、倉庫内は…いや、チーム全体が大きく揺れていた。
「ところで煌騎はこんな時に何処で何してるんだ?和之は実家に帰るとは聞いているが……」
「煌騎は…親父さんに、急用だとかで、呼ばれて出ていっ…た。和之はおそら…くっ、その救出に……ハァハァ」
俺が愚痴るように言うと、眠っていた筈の朔夜が切れ切れにだが言葉を返す。
内部の傷がかなり痛むのだろう……。
眉間に深く皺を寄せ、平気な顔を装いながらもその実それはまったく隠せていなくて、顔色は真っ青でとても辛そうだ。
いい加減なんの牽制だかプライドだか知らないが、医者の前でそんな演技(マネ)したって通用しないんだって事を学習して欲しいもんなんだが、こいつらには話したって無駄なんだろうな……。
諦めの境地で深い深い溜め息を吐く。
「なら、二人がここへ到着するまでは待ってやる。だが、後は大人しく俺に病院へ搬送されろよ?ったく、面倒くせぇ……」
「……………………ありがとう、健吾さん」
脂汗をダラダラと滝のように流す朔夜は、嬉しそうにニッとはにかんで笑うとまた瞼を閉じ、粗い呼吸を繰り返した。
背は高くてもヒョロッヒョロなこいつも一応は一人前の男なのだな、と痛感しながらも心の中で早く煌騎や和之の到着を願った。
煌騎、早く来いっ!お前の大事なモノが壊される前に早くッ!! 早くッ!!!―――…
.
最初のコメントを投稿しよう!