交差する想い

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. 「しかしあの吉良がよく言う事を聞いたな。一体何をして従わせたんだ?」 大して興味もなさそうに神埼が聞く。 でもこれからの計画には絶対の自信がある私はニヤリと口角を上げて笑う。 吉良がしくじってさえいなければ、まだ挽回の機会はあるのだ。 一転して勝ち気に微笑む私に訝しむ神埼は、眉を潜めてこちらを見遣る。 「フフ、そんなの簡単よ。あの人、年の離れた妹がいるの。それはそれは可愛い、ね♪」 「フッ、なるほどな……。それなら奴もしくじる訳にはいかないな」 私の企みがわかったのか、神埼は微かに笑うと後はもう興味がないと言わんばかりに踵を返し、部屋を出て行こうと襖に手を掛けた。 が、何かを思い出したように顔だけをこちらに振り返えらせる。 「せっかくの策略だがくれぐれも亜也斗に台無しにされないよう目を配らせておけよ。アレは直ぐに暴走するからな」 「――言われなくてもわかってるわよっ!」 余計な一言にまたクッションを手に持ち振り返るけど、神埼はさっさと退室した後でもうそこには誰もいなかった。 ―――本当にあの男は腹が立つッ!! いつか全ての権力を手に入れたなら、絶対一番に始末してやるのに……。 けれどそれも叶わない。何故なら私の秘密を知り尽くしているからだ。 私がもっとも信頼を寄せている“あの人”の手駒という事もあって手が出せない。 でも、まぁいいわ。私は煌騎さえ手に入れば後は何もいらないのだから……。 もう直ぐその彼も手に入る。 邪魔者のあの女を始末すれば、私に怖いものはなくなるのだ。 クスリと微笑むと私は徐に机の上に放置していたケータイを手にした―――… .
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