私は誰ですか?

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. 「お前を拾ったのは俺だ、面倒みるのは当然だろ?理由なんてそれだけで充分だ」 さも当たり前というようにさらりと言ってのけた煌騎は、いたずらっ子みたいな顔でニッと口端を上げた。 そして私の頭を今度はぐしゃぐしゃっと少し乱暴に撫でる。 「変な気を遣うな、俺が好きで勝手にやってることだ。お前はそれに甘えていればいい」 「そうだよ、チィ♪甘えちゃえっ!煌騎はこれでもお金持ちだから気にすることないよ☆」 横から虎汰が茶化して楽しそうに言う。 余計な事を言うなと煌騎は渋い顔をしたが、でも直ぐに機嫌を直して私を見た。 「まぁ、……そういうことだ。観念して俺に面倒みられてろ」 そう、今日一番だろう最上級並の微笑を浮かべて言われれば、私の微々たる抵抗力は見事にすべて剥ぎ取られ、降伏するよりなかった。 力なく肩を落とし、情けない顔でコクンと頷く。 それに満足げに頷いて応えると煌騎は私をソファに残し、ゆっくりと立ち上がった。 「それじゃ、行ってくる」 「……うん、行ってらっしゃい」 彼と離れるのは心許ないし寂しかったが、これ以上は我が儘を言えない。 .
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