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流星くんは顎に拳を当てて暫く考える素振りを見せたが、直ぐに何かを思いついてポンッと手を打つ。
「とりあえず車まで俺が運ぶ!その後、靴買えばいいだろ?」
「―――え?…きゃっ!?」
彼は言うや否や、私の背と膝の下に手を入れて軽々と抱き上げ、悠々と入口に向かおうとする。
が、それに先に意を唱えたのは何故か虎汰だった。
「ズルい、バカ流星ッ!俺だってチィ抱っこしたいっ!!」
「バカは余計だっ!つか、お前だとこの先の階段降りる時、チィ落っことしそうで怖ぇよ」
その言葉に虎汰はカチンときたのか、キッと流星くんを睨み返した。
その表情はかなりのご立腹だ。
「俺より背が高いからってバカにすんなよっ!チィ一人くらい俺だって楽に担げんだよっ!!」
「プッ、“担げる”だろ?男は黙って優しく姫抱っこしてやんないとな♪」
彼よりも背が低い事を気にしているらしい虎汰は、怒りに任せて声を荒げる。
対して流星くんはバカ呼ばわりされた腹いせか、まるでそれを煽るように返した。
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