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私を挟んでケンカし始めた二人に慌てふためき、彼らの顔を忙しなく交互に見やる。
この場にはケンカを止めてくれそうな朔夜さんも、年長さんで頼りになる和之さんも、私が全信頼を寄せる煌騎もいない。
それなのにどうしようと気ばかり焦って、何をしたらいいのかも思い浮かばない。
遂には瞳に溜めた涙が決壊し、何とか二人を止めようと彼らに懇願していた。
「うぅっ、ケンカは止めて~っ……ヒック…ケンカ、やだぁ~っ」
「………ありゃ、チィ泣かしちゃった」
私の泣きが入り、漸く二人はケンカするのを止めた。
そして困ったように顔を見合わせる。
「心配掛けてごめん、チィ。でも俺たち、コレけっこー楽しんでやってるんだぜ?」
「うっわ、なにそのマゾ的な発言っ!? なんかやだっ!!」
「…………??」
流星くんの言っている意味が分からず、私は涙を拭いながら小首を傾げた。
すると虎汰がテレくさそうに頭を掻く。
「まぁ…つまり、コレが俺たち流のじゃれあいっつーか……」
「本気でケンカしてるワケじゃねーから、あんま気にしないで貰えると助かる」
「…………」
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