彼らはモンスターっ!?

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. 生まれて初めての体験に、先ほど感じたモヤモヤさえ吹き飛んでしまうほど私は“今”を堪能していた。 (自由に出歩けるって楽しいっ!!) 震えもいつの間にか収まり、また買い物が再開されると思うと顔には自然と笑みが零れる。 それを目にした流星くんたちは一瞬だけ驚いた顔をしたが、どこか安心した表情へと変わっていった。 「ほら、チィも私たちだけで買い物したいって!ね♪」 虎子ちゃんに同意を求められて返答に困ったが、苦笑を浮かべつつも控えめに頷いてみる。 だけど流星くんは大袈裟なくらいガクッと項垂れてしまった。 すると虎汰はそんな彼に遠慮なく膝蹴りを喰らわせ、軽く咳払いをしてから私へと向き直る。 「チィが望むようにしていいんだからね?こいつの事は放って置こっ♪」 「おいっ、俺は別に――…」 「ハイハイ、愚痴なら後で聞いてやるから!ホラ、後方に下がるぞっ♪」 まだ何か言いたげな流星くんを無理やり引き摺り、虎汰は私たちから数メートルほど離れてくれた。 その距離は万が一何かがあっても、彼らなら直ぐに駆けつけられるギリギリの射程内なのだと、隣に立つ虎子ちゃんが教えてくれる。 “だから安心して買い物の続きしようね”と、彼女は笑った。 .
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