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けれど虎子ちゃんは私に優しく微笑むと、彼女もまた同じように首を横に振った。
「チィ、怖がらないで?大丈夫だよ、人を好きになるのに時間なんて必要ないんだから……」
「………時間は、必要ない?」
首を傾げる私に虎子ちゃんは強く頷く。
それからニッと口端を弓なりに上げてゆっくり立ち止まると、その場で大きく伸びをした。
「かく言う私も流星に一目惚れだったしね♪ 昔、族に絡まれてたトコをあいつに助けて貰ったんだ☆」
コレ内緒ね?と虎子ちゃんが無邪気に笑う。
彼女曰く、私は今まで閉鎖的な環境にいた為にまだ恋を知らなくて、ただ怯えてるだけなんだって言ってくれた。
「戸惑うのはわかるかけどさ、それを否定したらチィの初めての気持ちが可哀想じゃん♪」
「―――でも、煌騎にはもう……」
そう、彼には既に決められた人がいるのだ。
この気持ちを認めてしまったら、もう傍にも居られなくなってしまう。
「う~ん、望みがなかったら想い続けても意味がないと思ってる?じゃあ、私の恋も報われない?」
「虎子ちゃんはまだ望みがっ―――…」
「ないよ。流星が私に振り向くことなんて、百パーない……」
間髪入れずに虎子ちゃんは否定した。
ちょっと辛そうに笑って……。
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