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「流星はさ、私のこと女として見れないんだよ。親友の双子の妹だから……」
「―――あ…、」
たぶん彼女にとっては触れられたくない部分だったのだろう。
でも敢えてそれを口にした。
私が後ろ向きでうじうじと考え、自分の気持ちを押し殺そうとしたから……。
酷く傷つけてしまったと思った。
「ごめんなさい。私、事情も何も知らなくて勝手なこと言った……」
「ふふ、気にしないで?だからといって私、諦めるつもりはまったくないから♪」
虎子ちゃんは次の瞬間には晴れやかに笑っていた。
その顔には迷いが一切ない。
純粋に彼女が羨ましいと思ってしまった。
「……ねぇ。ところでお腹、空かない?少し歩き疲れたし、休憩しましょうか♪」
「え、でも時間が……」
今は時間を示すものが何もないので、正確な時刻はわからない。
けれどもうかなり遅い時間にはなっている筈だ。
のんびりしていると店が閉まってしまう。
ところが虎子ちゃんは私の意見も聞かず、さっさと後方の二人の元へと向かってしまった。
仕方なく後をついて行くと、必要なものはある程度揃えられたとのことで、買い物はこれでお開きとなった。
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