謎多き女(ヒト)

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. 《煌騎side》 「それじゃ煌騎、また後で……」 「あぁ、」 そう和之たちと倉庫の前で別れて数分後、俺はとある老舗の料亭に来ていた。 目的はただひとつ。 親父に今後の俺の行動を黙認させ、口出ししないよう釘を刺す為だ。 話しがしたいと連絡を取ったらここを指定された。 未成年の高校生をこんなトコに呼びつけるなんて何考えてんだか、あのクソ親父……。 相変わらずふざけた野郎だ。 もっとも“親父”などと呼んではいるが、俺との血縁関係は一切ない。 親父は親父でもこれから会う人は、この県内を締める鷲塚組の組長だ。 遥か昔、俺の父親の片腕だった男の実家は極道だった。 しかもいずれは組織を継ぐ跡目だったらしい。 それが10年前、ある抗争で呆気なく命を落とした。 その現場に俺も居合わせたらしいが、当時まだガキだった所為か殆ど何も覚えちゃいない。 ただ何かの発砲音が数発続いて、その場が騒然となったのは覚えている。 場所は“白鷲”の溜まり場である倉庫。 ガキは俺以外にも何人かいて、大人数人に外へ強制的に連れ出され、安全な所へと避難させられたのだ。 その翌日、跡目が亡くなって俺の父親が行方を晦ましたと聞かされた。 .
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