1036人が本棚に入れています
本棚に追加
.
カラン、カラン♪~
「アラ、煌騎くんいらっしゃい♪」
扉を開けるとまず優子さんが出迎えてくれた。
その声で奥の厨房で作業していた虎治さんがこちらに顔を出す。
「よう!久しぶりだな~、煌騎♪」
「ご無沙汰。最近は忙しくてなかなかこっちに顔を出せなくて、ワルいな……」
久しぶりの訪問にも美月夫妻は嫌な顔1つ見せずに歓迎してくれる。
ここは俺たちはみ出し者にとって、第二の家とも言えるべき大切な場所だ。
「虎汰たち来てるぞ?後、和之とあの出不精の朔夜も……♪」
虎治さんは楽しそうに言うと店の奥の席を顎で指す。
見ると虎子を含め“白鷲”幹部が、忙しなくチィの世話を焼いていた。
チィはこちらに背を向けている為、表情は分からなかったがおそらく満面の笑みを浮かべているだろう。
知らずホッと息を吐く。
「あいつらにも言ったが随分と毛色の違うのを連れてると思ったら…なんだ、そういうことか……」
虎治さんは俺の顔を見て至極納得した顔をする。
俺はそれに気付かないフリをしてサラリと流した。
「ちぇっ、シカトかよ。ま、いいや♪それよりも煌騎……」
急に声のトーンを下げ、虎治さんは真面目な顔付きになって俺へと向き直る。
.
最初のコメントを投稿しよう!