お話.1

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「んーどうしよ…」 合コンじゃないとはいえ、意図的に会うのもなー… あたしがいつまでもうじうじしていると、とうとうあゆが限界にきた。 「あーもう!彼氏欲しいの!?欲しくないの!?どっち!」 あゆは机に手をドンッとついて、あたしの前にずいっと顔を近づけた。 ちょっ…声大きすぎ!クラス中に聞こえちゃうよ… うぅ… あたしは周りの目を気にしつつ、小さくなって そりゃあ… 「欲しい…」 と、小さく答えた。 紹介なんて気乗りしないけど、あゆの言うことはごもっともだし、合コンよりはマシかなと思った。 「んじゃー福に言っとくから」 あゆはそれだけ言うと、満足げに席を立った。 あゆの後ろ姿を見てやっぱいいなんて言えるわけもなく、あたしはおとなしく御馳走様でしたと手を合わせて、お弁当箱をしまった。
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