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声のした方を見ると、芦田君と思いっきり目が合った。
芦田君に話しかけられるなんて、初めて。
わ…
初めて目が合ったかも…。
いつも挨拶する時は、目も合わせてくれないから。
慣れない視線に、少しドキドキしながら
かろうじて返事をする。
「な…何?」
「担任が呼んでたよ」
「え?本当?…ありがとう」
「ん」
芦田君はそれだけ言うと、踵を返して行ってしまった。
正面から見る芦田君は格好良くて、少しドキドキした。
まるで芸能人と喋ったみたいに。
現実味のないフワフワした気持ちのあたしに、あゆが不思議そうに顔を覗かせた。
「雪香?何だって?」
「あ!なんか担任が呼んでるって」
「えーすぐ終わるの?予定ありますって言って早々に切り上げておいで」
「んーとりあえず行ってくる」
職員室まで廊下を小走りする。
なんか用事ができて残念なような、ほっとしたような。
あたしやっぱり乗り気じゃ無かったのかなと、自分で呆れた。
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