お話.2

9/11
前へ
/196ページ
次へ
通話を切ったスマホを眺めながら、無意識にため息がでた。 なんとなく、ほっとしたから。 やっぱり紹介ってなんか違う気がして、行けなくなって安心してる。 「そんなに行きたかった?」 「え?」 「行けなくて残念そうだから」 どうやら芦田君は今のため息を、行けなくて残念と解釈したみたい。 「ううん、逆…かも」 「行きたく無かったの?」 「まぁ…そんなとこかな」 曖昧な笑顔を作って芦田君を見ると、少し驚いた顔をしていた。 あれ? 今更だけど… 芦田君って女子とは、あんまり話さないはずじゃ…? えっと、でも。 そんな事より 「とりあえず話あるんだよね?教室戻る?」 放課後はみんなすぐ帰っちゃうから、教室には誰もいないはずだし。 あたしにしてはよく提案したもんだと、自分に感心したんだけど。 芦田君は、もっとあたしを驚かせた。 「話なんてないよ。大島を行かせたくなかっただけ」 …え? どういう… 「大島って案外、鈍感だな」 は? 失礼でしょ… 「大島って誰でもいいの?」 何が… 「男なら誰でもいいの?」 「違うよっ」 一言の意味を理解するのに時間がかかったけれど、そこでやっと言葉が出た。
/196ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1258人が本棚に入れています
本棚に追加