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通話を切ったスマホを眺めながら、無意識にため息がでた。
なんとなく、ほっとしたから。
やっぱり紹介ってなんか違う気がして、行けなくなって安心してる。
「そんなに行きたかった?」
「え?」
「行けなくて残念そうだから」
どうやら芦田君は今のため息を、行けなくて残念と解釈したみたい。
「ううん、逆…かも」
「行きたく無かったの?」
「まぁ…そんなとこかな」
曖昧な笑顔を作って芦田君を見ると、少し驚いた顔をしていた。
あれ?
今更だけど…
芦田君って女子とは、あんまり話さないはずじゃ…?
えっと、でも。
そんな事より
「とりあえず話あるんだよね?教室戻る?」
放課後はみんなすぐ帰っちゃうから、教室には誰もいないはずだし。
あたしにしてはよく提案したもんだと、自分に感心したんだけど。
芦田君は、もっとあたしを驚かせた。
「話なんてないよ。大島を行かせたくなかっただけ」
…え?
どういう…
「大島って案外、鈍感だな」
は?
失礼でしょ…
「大島って誰でもいいの?」
何が…
「男なら誰でもいいの?」
「違うよっ」
一言の意味を理解するのに時間がかかったけれど、そこでやっと言葉が出た。
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