お話.3

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「食べたいんでしょ?」 「うっ…ん」 「じゃあいいじゃん。行くよ」 あれ? 断ったはずなのに、何でこんな展開に? あたしは話に頭がついていかず、その場に立ち尽くしていると、芦田君があたしの真横に来た。 「行くよ」 グイッと、力強く、手を引っ張られた。 わっ わわわ。 手! 腕じゃなく手だよ! 端から見たら、手つないでるみたいだよ…! 前を向いて、ひたすら前に進んでしまう芦田君に何も言えず、なすがまま引っ張られていく。 廊下にいる生徒に、チラチラ見られてるのが恥ずかしくてたまらない。 「あっ芦田君!あたし自分で歩けるから」 周りの視線に耐えかね、ついて行くことを了承してしまう形になった。 「ん」 やっとあたしを見て、またふわりと笑う。 もう… 何がしたいの、この人。
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