お話.3

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「芦田君……あんまりみんなの前でさっきみたいなこと…やめてくれないかな」 玄関で上履きからローファーに履き替えながら、おずおずと言った。 「さっきって?」 「だから…!その、手、繋いだりとか…」 若干鼻息を荒くしながら、必死に抗議する。 「フッ。分かった」 そんなあたしを見て、控えめに笑う芦田君。 なんか……わざとやってる? あたしのこと、からかってるんじゃないの? 「ねぇ、芦田君。からかうなら別の人でやって」 からかわれてると思うと沸々と怒りが込み上げてきて、睨みをきかせて芦田君の目を見た。 のに。 彼の瞳は、あたしを真っ直ぐ見ていて。 「俺、大島にしかしないけど」 「…っ」 嘘には見えない、彼の意思が伝わる瞳。
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