お話.1

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「ねぇ、あゆはさ彼氏とどうやって出会ったんだっけ?」 お昼休み、隣の席のあゆと机をくっつけて、お弁当のミートボールを食べながらふと思ったことを口にした。 あゆは1つ年上の、他校の彼氏がいる。 「え、何急に。ってか忘れたわけ?」 「違うよ?忘れてないよ!復習だよ復習」 ニヘラっと慌てて笑顔を作ったけど、案の定口の端が引きつった。 本当は忘れちゃったんだけど。 いつもは綺麗なあゆの顔が、般若の顔に近づいてるから言えない。 「もー雪香って、人の話ちゃんと聞かないよね」 仕方ないなあと言いながら、少し照れたような表情を浮かべるあゆはすごく可愛い。 いつもの綺麗とは違って可愛いんだ。 恋する乙女って、みんなこんな可愛いのかな。 あたしも早く恋したいな。 「…ってなわけ。…って、雪香聞いてんの?」 あゆの可愛い表情に見とれていたら、すっかりぼーっとしていた。 「あっ…!聞いてなかった」 まぁこの後げんこつが、頭に落下したんだけど。
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