お話.1

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「んーとね、例えば駅で定期券を落としちゃってそれを拾ってもらったとか、ナンパされてる所を助けてもらったとかかな」 頭の中で妄想を繰り広げながら、ニヤニヤしていると、そんなあたしを見て「きもっ」とあゆが言った。 「雪香、小説やテレビじゃあるまいし、現実でそんな事あると思ってるの?」 「うっ…」 「妄想しすぎ。そんなだから恋なんてできないんだよ」 うぅ… 「今年もクリスマス独りでいいの?」 ぐぅのねもでないとはこの事なんだと、人生で初めて経験した。 頭ごと、机にうなだれるあたしを見かねたのか 「今日、福の友達と遊ぶ?」 と、少し笑いを含んだ口で言った。 「え」 「合コンじゃないからいいでしょ?」 ん…まぁ、そうだけど… ちなみに福とは、あゆの彼氏だ。
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