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翌日、就業後にコーヒーショップに寄った。地主ボンボンにカードを貰ってからは毎日来ている。1杯400円のコーヒー、味も香りも良いコーヒーに私は虜になった。 もう……オフィスのコーヒーは飲めない、言うなら別の飲み物だ思えば飲める。人間、舌が肥えると下のランクの食べ物を受け付けなくなるというが事実だと思った。 窓側のカウンター席。日は暮れて空は暗い。携帯で始発の新幹線の時間を調べるが、東京駅に向かうまでの電車が無い。始発の次なら間に合うかもしれない。 私は携帯を操作する手を止めた。 「……」 正確には無意識に止めていた。あの香りに振り返ると彼はいた。センセイ。
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