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「先日もまた違う殿方といらっしゃいましたね」
「会社の上司です」
「上司と部下、という雰囲気でもありませんでしたが」
「ええ。あの日はプライベートでお会いしましたので」
「プライベート、ですか」
センセイは再び鼻で笑う。私は墓穴を掘ったことに気付いた。別段困ることでも無い、私に男がいようといまいとセンセイには関係無いのだから。
「今日のコーヒーですか?」
センセイはチラリと私のマグを覗いた。
「あなたは本当に変わらない人ですね」
「何がですか」
「背伸びをするのはお止しなさい」
「ブラックぐらい飲めます。もう25ですし」
センセイは、そうでしたね、と言った。
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