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しばらく私もセンセイもそこにいた。あれから7年……センセイは38、9位になってる。でも見た目も雰囲気もあまり変わった様子も無かった。飄々としているセンセイに私は焦っていた。いや、焦るというよりは腹を立てていた。何故センセイだけ変わらないのか、私だけが惨めさにうちひしがれているのか。
「……」
答えは簡単に出た。たった3度ヤった位はセンセイには日常会話程度なのだ。
たった数回で突き放したのは、私はセンセイには取るに足らない人間だからだ。雑種。私は冷めたコーヒーを飲み干し、席を立った。センセイは気付く様子も無く専門書を読み耽る。私の動きに気付かないセンセイに再び腹が立ち、私はドアに向かいながら携帯から電話を掛けた。相手は地主ボンボン。
「ねえ、暇?」
ボンボンはすぐに出た。酒の席なのかざわついている。
「会いたいのっ。すぐ来て!」
大きい声でそう言い放ち、ドアを開ける。横目にカウンターを見れば数人が私を見ていた。センセイもこちらを見ていた。
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