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「悪かったな、朝早くに」 「いえ」 「紅葉がピークでな、昼だと渋滞が酷い」 土曜日の朝、私が宇都宮駅の改札に行くと楢和部長はいた。部長の車に乗り、日光に向かう。ビルの隙間からは抜けるような青空が広がる。 景色は徐々に住宅街、田畑、山々と変わっていく。杉が多いのか山はまだ深い青緑色だった。有料道路を下りて一般道に入る。木々は一気に色を付けた。 「綺麗ですね」 「ああ。子供の頃はこんな枯れた葉なんて当たり前だったから有り難みも無かったが。東京に来て何年も経つと懐かしくなるもんだな」 「部長、ご出身は」 「会津だ。言ってなかったか」 冬の喜多方ラーメンは美味いぞ、と部長は笑う。
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