SWD ~ファクト③

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 羅刹に案内されて、パーティー会場から少し離れた厨房の扉を開ける。ムッとした熱気と香ばしい肉の焼ける臭い、鍋を振るう音物を刻む音に換気扇の音…。雑多で膨大な情報量に、微かな目眩を感じた。目当ての人物はと言えば、他館の料理人に混じって忙しそうに厨房内を動き回っていた。彼の燃えるような赤髪とコック服は人目を引く。  慌ただしい気配に踏みいってよいものかファクトが躊躇していると、そんなファクトを尻目に羅刹が元気よく駆けこんでいった。 「炎!ファクトが用事あるって!」  そう言われ、目が合ってしまっては仕方がない。額に汗を浮かべる料理人に、ファクトは小さく頭を下げた。 「どうした?」  大きな声で問われ、ファクトは答えるべく『シュトーレンを貰えないでしょうか』とペンを走らせるが、 「見えねーよ!」  と直ぐ様突っ込まれた。  正直、ファクトはこの料理人が苦手だった。それは例えば、彼のぶっきらぼうな話し方であったり、睨んでいるように見える目付きであったりするのかもしれない。  責められているように感じるのだ。  大きな文字で書き直そうとしたがやめ、料理の合間にでも分かるようイラストを添える。が、「いや、ちげーよ」とまたしても 突っ込まれた。 「サーシャに聞いたんだけどよ、お前話せんだろ?」  一旦手を止め、炎はファクトに向き直った。  直接的な問いに、ファクトは困ってしまう。それが能力的に、という問題ならば、確かに自分は声を発し喋ることは可能だ。可能では、ある。  曖昧に頷くと、 「じゃあ喋れ。」  料理の合間にソレ見んの面倒なんだよな…と少し眉を寄せた。

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