来襲

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今日は、社長に会いに病院へ出向きたかったので、渉さんの帰る時間が気になった。 7時頃に渉さんが社長室から出て来て、外出すると私に言った。 「私はもう上がってもよろしいですか?」 「ああ、構わない」 「わかりました。お疲れ様でした」 私は頭を下げた。 彼がエレベーターに行きかけて、私を振り返った。 「お前の番号、菊森から聞いた。俺の番号も聞いておけ。いつでも電話に出られるように、携帯はいつも手放すな」 「…承知しました」 彼をエレベーターまで見送り、明日の出社時間について確認した。 彼が乗り込んで、エレベーターの扉が閉まると、階数の表示が流れるのをぼんやり見つめて立ち尽くしていた。 『お前』 「……せめて……名前で呼んでよね」 小さなため息とともに独り言をつぶやいて、階数表示が地下で止まったのを確認して秘書室へ引き返した。
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