来襲

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「お疲れさまでした」 「お先に失礼します」 二人が同時に部屋を出ると、私もデスクの上を片付けにかかる。 「これから病院に行くつもりか?」 室長が言った。 「はい。早くお会いしたいです」 「私も行こう。病院まで車の方が早いだろ?」 「いいんですか?」 「ああ。私も社長の様子をこの目で確認しておきたいからね」 私は室長に笑顔で返事をして、支度をし終わってから渉さんの連絡先も忘れずに確認した。 病院に着くと、(はや)る気持ちで、病室に向かい、静かにノックした後でドアを開けた。 白いシーツの中に社長は点滴の管をつけたまま、目を閉じて横になっていた。 「今は……寝てらっしゃるんでしょうか?」 小声で室長を振り返ると、室長は静かに頷いた。 話が出来るなら、話したかったな……。 ……社長の声が聞きたい。 室長に促されて、ベッドの脇の椅子に腰を下ろした。 「…社長…」 起こしてはいけないと思いながらも、たまらず声を掛けると、思いがけず、社長に反応があった。 静かに目を開けて、ゆっくりと私に顔を向けてくれた。
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