来襲

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「…社…長……」 横になったままでも、社長の優しい眼差しはそのままだった。 その視線が私をしっかりととらえた瞬間、胸の中から込み上げてくるものが、瞬く間に涙腺に結び付き、涙が溢れた。 「…き…り…たに…く…ん…」 途切れる声で私を呼んだ。 私は布団の中から社長の手を探ってしっかりと握った。 こちらの手は感覚があるのか、社長はその手を握り返してくれた。 嬉しかった。 社長室で倒れた時には何の反応もなかったその手が、今、しっかりと私を捕まえている。 嗚咽(おえつ)を漏らす私をなだめるように、力のない手で私の手を何度も握り直してくれた。 そして、社長はゆっくりと時間を掛けてこう言った。 『…桐谷君、息子を…渉を頼む……。君にしか…頼めないんだ……』 私は何度も何度も頭を下げて頷いた。
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