来襲

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室長は会社のことは何も心配はいらないということを強調して、社長を安心させていた。 社長は横たわったままの状態でもわかるくらいにホッとしたのか肩から力を抜いていた。 長居をすることは社長の負担にもなりかねないので、面会時間が終わるのを待たずに病室を後にした。 帰りがけにナースステーションによって、看護師さんに社長の容態を聞いた。 言葉も動きも徐々に良くなってくるという。 それから、タオルや下着など入院中に必要なものを持って来るように指示を受け、病院を出た。 「社長の下着類、どうしたらいいでしょう? 渉さんに聞いてみましょうか?」 病院のロビーを抜けながら、室長に聞いた。 「そうだな。とりあえず車に戻ろう。今日も夕飯、どこかで食べようか?」 時間も時間だ。お腹も空いてる。 私たちは夕飯を一緒にとることにした。 車に戻ってから、登録したての渉さんの番号を表示する。 ああ、妙に緊張してしまう……。 なにせ、あの口調が心臓に悪い。 そう思いながら、これは業務だと割り切って、発信ボタンを押して携帯を耳に押し当てた。
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