爪痕(ツメアト)-1

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「素敵ですね!」 会場となるホテルに着いた。 外観も内装も文句なしの高級ホテル。 会場は結婚式場にも使用されるという広い会場だった。 前日の午後なので、既に明日に向けての準備がなされて、会場はほとんど整っている。 会場の前方中心にはステージが設けられ、バックには金屏風、その上には『祝 遠野 渉社長就任披露パーティー』とうたった立派な横断幕が掲げられていた。 「準備はだいたい整っているようですね。」 「ああ。」 室長の言葉に渉さんが辺りを見渡しながら答えた。 そして、ぐるりと会場を見渡した後、その視線を私で留めた。 「で、お前の準備は出来てるんだろうな?」 …え? 瞬時には何のことか理解できなかった。 けれど、次の瞬間焦り始める。 …私、何か指示されてたっけ? 考えても考えても思い出せない。 …どうしよう。 「…私の…準備といいますと…?」 恐る恐る渉さんに尋ねた。
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