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次の瞬間、氷よりも冷たい視線が突き刺さる。
「明日のお前の準備だ。ふざけてるのか?」
「…ですから、明日の何の準備でしょうか? 言われたことは全て準備したつもりですが。」
「…お前、わかってるのか?明日はお前もパーティーに出るんだぞ?」
…え?
…嘘。
…そんなの聞いてない。
「ど、どうして私が出るんですか? そんなお話、聞いてません!」
「お前はバカか? 社長の就任披露に秘書のお前が出ないなんてことがあるのか? お前……俺の秘書だという自覚がないのか?」
刺すような視線に重ねて、冷たい言葉を投げつけられる。
「パーティーには室長が付き添いをされるんじゃないんですか!?」
そう、このような役員の社外行事には室長が同行するのが常だった。
私たちはほとんど経験がない。
…今回だって、そうだと思っていたし、渉さんからも室長からも私が出席するなんて聞いてなかった。
「…社長、それは私も聞いていませんでした。桐谷君には経験もありませんし、私が出席します。」
室長が私の代わりに渉さんに説明するも、渉さんはそれを撥(ハ)ねつける。
「菊森が出席するのは構わない。だが、俺の秘書はコイツだ。」
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