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「…親父が出席するなら菊森が親父の面倒を見なきゃならない。なおさら手が必要だ。親父が出ると知っていながら、自分は出ないつもりだったなんて…お前はバカか?」
…そう言われてみると…
…確かにその通りだった。
…全然考えてなかった。
「…申し訳ありません。」
そう答えながら焦りは濃くなるばかり。
…どうしよう。
本当に何も準備できていない。
視線の定まらない私に室長が何かを口にしようとした時、渉さんがそれを遮った。
「お前、身長は?」
渉さんは携帯を取り出して、指先で画面をスクロールしながら私に言った。
「し、身長…ですか!?」
「何度も言わせるな。何センチだ?」
渉さんの怒鳴るような声に反射的に答えてしまう。
「…159センチ…です。」
すでにどこかと繋がっていたその電話を耳に当てながら、私が身長を言い終わる前には受話器の向こうの誰かと話し始めていた。
それから、少しの会話の後、また私を振り向く。
「スリーサイズは?」
スリーサイズって……バスト、ウェスト、ヒップってやつでしょうか?
ポカンとする私の答えを待たずに渉さんは私を適当な視線で勝手に計測し、電話の相手にそっけなく伝えた。
「中(チュウ)だな。中。」
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