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「渉ー! 出来たわよ!! どう?」
勢いよく飛び出してきたのは伯母の方。
その後ろから伯母の背中に隠れるようにアイツがついてくる。
伯母がよけるとアイツが俯いたまま立っていた。
「あははは。渉ったら、見とれて声も出ないの!? これはいいわね。渉でもそんなことがあるなんて。可愛いとこもあるんじゃないの! ね、…素敵でしょ?」
「…見とれてるわけじゃねーし、声が出ねえわけでもない。コメントするまでもないだけだ。」
「…どこまで、ひねくれてるのよ…。」
「…私、これでパーティーに出るんですか!?…もっと、パンツスーツとかの方が動きやすいと思いますけど。」
アイツは俺と伯母の会話など耳に入っていない様子で、一人戸惑っていた。
アイツはシンプルな黒のロングドレスに身を包んでいた。
細身のシルエットで胸元が少し広めに開いている。
…やけに背が高くなったような…。
「明日のことで急な話だから、ドレスの丈も直せないわ。問題なのは丈だけだから、高めのヒールを履いて調節したわ。渉、背だけは高いんだから別にいいでしょ?」
…そういうことか。
「背だけはってなんだよ。」
「あら、それ以外に長所があったかしら?」
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