爪痕(ツメアト)-1

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「…私がこの恰好なら、お役に立てるんですか?」 「もちろん!渉もやる気が出ると思うしね!」 「…俺はカンケ―ねーだろ。」 「…では、あの、今日は申し訳ありませんでした。私が自分の準備をちゃんとしていなかったので、社長にも千草さんにもご迷惑をおかけして…。あの、ドレス、お代はどうしたらいいんでしょうか。…今は持ち合わせがないんですけど…。」 「ああ、いいの。渉に支払ってもらうから。」 「はあ?」 「当たり前でしょ。何もかもあなたのためなんだから。こっちだって商売なのよ。ノアちゃんにならプレゼントしてもいいけど、それじゃあ、かえってノアちゃんに気を使わせるでしょ?」 「…そんな。また改めてお支払いに来ます。」 俺は胸元のポケットから財布を取り出し、カードを伯母に渡した。 「…社長。」 一歩歩み寄るアイツをいつものように見下ろすと、広く開いた襟元で白い肌がやけに眩しかった。 俺はすぐに目を逸らして、いつもの調子で言い放つ。 「カラダで返せ。」 伯母がニヤついたのが視界に入って、らしくなく慌てて付け足した。 「…社に戻ったら確認作業が山ほどある。きっちりで返してもらう。」 「…はい。申し訳ありません。」 頭を下げたアイツを見て、心臓が跳ねると同時に不安がよぎる。 頭を下げた時、 黒のドレスからアイツの白い谷間が覗いたからだ。
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