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「…私がこの恰好なら、お役に立てるんですか?」
「もちろん!渉もやる気が出ると思うしね!」
「…俺はカンケ―ねーだろ。」
「…では、あの、今日は申し訳ありませんでした。私が自分の準備をちゃんとしていなかったので、社長にも千草さんにもご迷惑をおかけして…。あの、ドレス、お代はどうしたらいいんでしょうか。…今は持ち合わせがないんですけど…。」
「ああ、いいの。渉に支払ってもらうから。」
「はあ?」
「当たり前でしょ。何もかもあなたのためなんだから。こっちだって商売なのよ。ノアちゃんにならプレゼントしてもいいけど、それじゃあ、かえってノアちゃんに気を使わせるでしょ?」
「…そんな。また改めてお支払いに来ます。」
俺は胸元のポケットから財布を取り出し、カードを伯母に渡した。
「…社長。」
一歩歩み寄るアイツをいつものように見下ろすと、広く開いた襟元で白い肌がやけに眩しかった。
俺はすぐに目を逸らして、いつもの調子で言い放つ。
「カラダで返せ。」
伯母がニヤついたのが視界に入って、らしくなく慌てて付け足した。
「…社に戻ったら確認作業が山ほどある。きっちり労働で返してもらう。」
「…はい。申し訳ありません。」
頭を下げたアイツを見て、心臓が跳ねると同時に不安がよぎる。
頭を下げた時、
黒のドレスからアイツの白い谷間が覗いたからだ。
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