2768人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
アイツの和らいでいた表情が一瞬にして堅くなる。
慌てて俺に駆け寄ろうとしたアイツのカラダが次の瞬間には大きく揺れた。
俺の足が一歩出る間に彼女を支えていたのは菊森だった。
菊森の腕の中でアイツの顔が見る間に赤く染まる。
慌てるアイツ。
微笑んだ菊森。
…俺の中で何かの得体の知れない感情が溢れ出る。
その感情を上手く抑えきれなかった。
俺はアイツの元に歩み寄って、やっとで立ち上がったアイツを冷たい視線で見下ろした。
「…俺に恥をかかすなと言ったはずだ。」
「…申し訳ありません。」
「別に、これが社長の恥になどならないでしょう。」
口を挟んだ菊森を睨みつけて俺は続けた。
「…さっきから見てれば、いろんな男にぽーっとして、…支えられたくらいで、そんな顔してるなんて…お前、もしかして…男知らないのか?」
最初のコメントを投稿しよう!