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◆◆ side 渉 ◆◆
「…水…。おい…水…。」
頭の奥がほんの少しだけ覚めて、目も開けずにカラカラの喉で声を絞り出した。
誰も反応しない。
誰もいないのか?
いるわけねーか。
だりー……。
動けねえ。
カラダだけじゃなくて頭まで重い。
かろうじて寝返りを打つと、ぼんやりとした視線の先に…
……女がいた。
…な、なんだよ!?
衝撃で重たかったはずの瞼が瞬時に開き、身体もベッドから起こしていた。
ルームランプに照らされたその女は…
…アイツだった。
何がどうなってるか、わけがわかんねえ。
ここは…ホテル…だよな?
ホテルの部屋にコイツと二人!?
…よく考えろ。
思い出せ……
俺は……
自分が思ってたよりも酒を飲み過ぎてて、パーティーが終わった頃からカラダがおかしかった。
コイツには確か、帰るように言ったような気がするが…。
思い出そうとしてアイツを見るが、
アイツを見れば見るほど……
自分の思考能力が奪われていくようだった。
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