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しばらくして、やっと喉が激しく渇(カワ)いていたことを思い出した。
静かに立って、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、キャップを外して口をつけると冷えた水が勢いよく喉を落ちていった。
目の前に光る夜景は見事だったが、俺の視線が求めているのはそれではなかった。
俺はボトルを手にしたまま、自分が寝ていたベッドに戻り、ベッドに腰を下ろして、再びアイツを見降ろす。
…猫っつうのは警戒心が強いんじゃねえのか?
バカか……
静かな寝息を立てる、警戒心のかけらもない無防備な黒猫を見つめながら昨日のやりとりを思い出していた。
俺が中(チュウ)と言ったら
伯母に特上だと訂正された。
…男を知らないなんて。
……嘘だろ?
『特上』って…どんなだよ?
それを…“食ってみたい”…なんて一瞬でも考えた俺は
コイツなんかより
よっぽど…バカかもしれない……。
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