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俺は崩れていたネクタイを外し、シャツのボタンを上から二つほど開けた。
そして、自分のベッドにもう一度寝転ぶ前に、立ち上がって掛け布団を引き剥がし、それを隣のベッドのアイツにそっとかぶせた。
部屋の空調は快適だが、いくらなんでも風邪を引きそうだ。
肌の露出が多い分、コイツの方が確実に。
布団から顔だけが出てるアイツはこうしてしまえば、ただのガキ。
俺はほんの少しホッとしてベッドに寝転んだ。
ふと、時間を確認する。
まだ腕時計もしたままだった。
…夜中の3時。
もうすぐあの空が白んでくる頃だ。
寝ころんだまま携帯を覗く。
着信が5件。
全部、菊森からのものだった。
最初は間を置かずにかけて、それから30分、1時間後と掛け直している。
最後に掛けてきたのは0時半。
これだけ俺に掛けているってことは、おそらくアイツは出なかったんだろう。
菊森の焦った顔がそこに見えるようだった。
妙に目が冴えてきてしまったが…
菊森もまた、眠れない夜を過ごしているかもしれない。
連絡してやりたい気持ちはあるが時間も時間だ。
朝一で連絡してやろうと思うが、きっとあっちから掛ってくるだろうとも思った。
眠れないとわかっていながら目を閉じた。
アイツの小さな寝息が耳に心地よくて、いつしか眠りに落ちていた。
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