本性

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俺は焦った。 コイツは俺を全く男として意識していないのかもしれない。 その時、頭に浮かんだのは親父のこと。 俺とアイツは 親父とアイツとの関係と同じなんじゃないかって。 アイツにとっては俺はあくまでも『社長』。 親父の時と同じ 『社長と秘書』の関係にすぎない。 アイツにとって、俺と一夜を明かしたことは、親父と一緒にいたのと同じことなのか? …全然…違うだろ。 アイツの考えてることも 自分の気持ちもわけがわからなくなっていた時だった。 部屋のインターホンが鳴った。 思わずアイツと目を見合わせる。 ベッドのサイドテーブルの時計は8時。 「…私が出ますね。」 アイツがベッドを立ってドアに向かった。 ドアの開く音がして、その瞬間にアイツの声がここまで届く。 「室長!?」 その声に俺は慌ててベッドから抜け出した。
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