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◆◆ side 望愛 ◆◆
私は昨日から預けてあった荷物を受け取り、自分のスーツに着替えた。
靴もいつものヒールの高さに戻り、私の足も喜んでいる。
ただ、髪の毛はピンしか持っていなかったので、下ろしたまま、少し荒れた肌に簡単に化粧直しをしただけでエレベーターに乗り込んだ。
…室長、やっぱり怒ってたな……。
携帯を確認したら案の定、電池切れで携帯画面は真っ黒のままだった。
秘書としては致命的…室長の言う通りだった。
私の反省の最中にも、エレベーターは静かにラウンジのある階に辿りついた。
カフェの入り口に急ぐと、渉さんと室長が待っていた。
「遅い。」
ムスッとした顔で渉さんが向きを変えて中に入って行った。
「行こうか。」
室長はさっきとは打って変わり、いつもの優しい雰囲気に戻っていた。
逆に…渉さんの機嫌が悪くなっている。
私がいない間の二人の変化に首を傾げながらカフェに入ると、コーヒーのいい香りが空腹を刺激して、私の思考は朝食のメニューへと切り替わってしまった。
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