本性

32/49
前へ
/49ページ
次へ
贅沢な朝食の後、私たちは室長の車に乗った。 普段は社長の渉さんが後部座席に座ることになっているけれど、今日は私が後部座席、渉さんは助手席に座った。 室長が渉さんを先に送ると言ったものの、渉さんの一言で私が先に降ろされることになり、車は私のアパートに向かっていた。 アパートに着いて私が降りると、室長は笑顔で私を労(ネギラ)ってくれたけど、渉さんはまたいつもの無表情に戻っていた。 車が走り出すのを見送りながら、私は肩を落とした。 パーティーの最中に見せてくれた… 優しい渉さんを期待していたから。 …もう…戻っちゃったのかな。 私は室長の車が見えなくなるまで見つめていた。
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3388人が本棚に入れています
本棚に追加