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「ええ?」
慌てて渉さんの顔を見て、いつもの無表情なことを確認する。
「す、すみません。社長。」
…代わりに私が謝罪する。
「トミ子さん! そんなこと、社長に失礼ですよ!」
「なーにが失礼だ。若いってのはいいなあ。望愛ちゃん大事にしてもらいな。」
…大事にって…トミ子さん何か勘違いを…。
「社長、この子本当にいい子だからちゃんと幸せにしてやってよ。この子、料理の腕は確かだから。いい嫁さんになるよ。私が保証するよ。…その代り、泣かせたら承知しないからね!」
トミ子さんはもう止められない。
「…社長、すみません。トミ子…梅田さん、何か勘違いをしているみたいで。」
私はそこまで言ってトミ子さんを振り返る。
「トミ子さん、ごちそうさま。久しぶりの温かい味、本当においしかったです。そろそろ行きますね。」
「また、来なよ。お幸せに~。」
…ダメだこりゃ。
私が苦笑いすると、渉さんが私に言った。
「帰る前に総務に顔を出して来い。俺は直接車に行く。」
私は返事をすると、最後にトミ子さんに手を振って、渉さんより先に食堂を出た。
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