刺客 1

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ああ…またこの苦手な笑顔。 そう思った時にはもう目をそらしてしまっていて、ハッとする。 別の部署とはいえ、上司に対してこんなにあからさまに……。 「あの、私の酔ったところなんて全く面白くないですし、可愛げもないですよ。酔ったらろれつも回らないし、フラフラするし、おまけに眠くなるし、それを越えたら記憶がなくなります。だから、その、お見せできるものじゃないんです。」 取り繕おうとすると、言い訳するみたいに早口になった。 …私…もう、酔い始めてるかもしれない…。 「…ふーん。それはぜひ見てみたいね。」 課長は口角をゆっくり上げて笑顔をつくった。 だから、その笑顔が……。 「桐谷くん、次、何飲む?」 「私…ホントにあまり強くないですから…。」 「せっかくの食事なんだし、ほら、他の二人も楽しそうじゃん。だから、桐谷くんもたまには羽目を外しなよ。」 そう言って課長は飲み物のメニューを私に差し出した。 一杯目のりんごサワーもまだ少し残っているし、もう少し…カラダが熱い。 察してください、と視線を送るがあっさりはねのけられ、仕方なくカルーアミルクを注文した。
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