第6話

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「ま……眩しい……茂! 久実、なんだこれは!」 背後から陸也の声がする。振り向こうとしたが、固定され身動きが出来なかった。 目がだんだんと明かりに慣らされ、やっと状況が飲み込める。黒の壁、黒の床、黒の天井……全面やはり黒の部屋だった。そしてその真ん中に、私は椅子に座らされていた。 ――これは冬馬と同じ椅子? いや、ちょっと違うみたい? 椅子とは繋がっているが、少し離れた場所に縦10センチくらい、横は1メートルくらいの金属のバーがある。冬馬の椅子には、こんな物はなかった。 「大丈夫か……久実……頭がぼんやりする」 椅子の背もたれに手をかけた陸也の体が、ふらふらと揺れている。 「しっかりして! これを外してほしい!」 冬馬の椅子と違って両足は縛られていなかった。だが、じたばたと上下に動かしても身動きできないのは同じだった。 「ちょっと待って久実……今外すから――」 「おい! 陸也! こっちが先だろ! どう見てもこっちの方がやばいよ!」 茂のかすれ声。今気付いたように、遠くにいたその者を改めて見上げた。
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