4人が本棚に入れています
本棚に追加
「ま……眩しい……茂! 久実、なんだこれは!」
背後から陸也の声がする。振り向こうとしたが、固定され身動きが出来なかった。
目がだんだんと明かりに慣らされ、やっと状況が飲み込める。黒の壁、黒の床、黒の天井……全面やはり黒の部屋だった。そしてその真ん中に、私は椅子に座らされていた。
――これは冬馬と同じ椅子? いや、ちょっと違うみたい?
椅子とは繋がっているが、少し離れた場所に縦10センチくらい、横は1メートルくらいの金属のバーがある。冬馬の椅子には、こんな物はなかった。
「大丈夫か……久実……頭がぼんやりする」
椅子の背もたれに手をかけた陸也の体が、ふらふらと揺れている。
「しっかりして! これを外してほしい!」
冬馬の椅子と違って両足は縛られていなかった。だが、じたばたと上下に動かしても身動きできないのは同じだった。
「ちょっと待って久実……今外すから――」
「おい! 陸也! こっちが先だろ! どう見てもこっちの方がやばいよ!」
茂のかすれ声。今気付いたように、遠くにいたその者を改めて見上げた。
最初のコメントを投稿しよう!