4人が本棚に入れています
本棚に追加
茂は、前の部屋の私と同じように鉄の柱に磔にされていた。
だがちょっと違っていたのは、私の時は十字だったが、茂の柱はカタカナのキの文字と丁度似ていた。
体は大の字に固定されている。一杯に広げた左右の手首と、開いている足首、腹、私の時と同様、鉄の輪で身動きできない状態にされている。
茂は苦しそうに脇腹を、微妙にねじっているが、効き目はなさそうだった。
「茂、待ってくれ! 側にいる久実のほうが先だ!」
陸也は手首の輪を外そうとしているが、冷や汗が滲むばかりで、びくともしない様子だった。
「そんなことを言うなよ! 久実ちゃんが好きだからだろっ! 早くしろよ!」
今度の部屋は舞台と椅子、その間には防音ガラスの隔たりのようなものはなく、声が筒抜けだった。
最初のコメントを投稿しよう!