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「女性の鼻歌……? 誰? この声は、まさか――」
――ピンポーン
――あっ、やっと来た! 今日は冬馬の大好きな手作りハンバーグを用意したけど、喜んでくれるかな……はーい! 今開けるね!
――久実、遅くなってごめんな。編集に付き合うと、いつも長くなっちまう。おじゃましまーす!
「この声は……私?」
「そうじゃ。その茂という男は、お前をずっと盗聴していた。勿論それだけではなく、お前をいつかモノにしようと、あちらこちらに手を回し盗聴器を仕掛けていた」
「本当なの……茂?」
――俺の大好きなハンバーグじゃん! 嬉しいよ久実。
――中にチーズも入れたのよ? 好きでしょう? 今ワインを開けるね。
――すっげー嬉しい! ご飯よりも、早く抱きしめたいくらい!
私たちの笑い声が、スピーカーから流れ出す。過去の楽しかった記憶が回想され、走馬灯のように蘇った。
「ち、違うよ……久実ちゃん。良寛さんが勝手に言っているだけさ、信じてよ! 好きな人に、そんなことをするはずないでしょ」
茂は、鼻で笑うかのように言った。
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