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慌てて壁に向かって叩く音に、茂の方からも同じような音が聞こえた。二人は拳を作り、壁をドンドンと殴っていた。
「お願いよ……陸也! 気付いて――ゴホッゴホッ」
空気が重く、徐々になにかに染まっていく。神経全部が警報機のように、脳味噌に訴えかけてくる。
――まずい気がする。出なくては! ここから出なくては!
「久実ちゃん……なんだか意識がもうろうとする――」
「茂、大丈夫!? お願い! 陸也! 開けて! ここを開けて!」
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