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壁を叩く拳の力が徐々に弱まり、ずりずりと下がりだす。意識が途切れ途切れになり、思考に霞がかかった。
――もう駄目……
諦めかけたその時だった。闇に光が薄っすらと差し込み、目の前の閉ざされた扉がスッと横に開いた。
「ドアが微妙に揺れていた気がしたんだ……そ、そのう――さっきは、ごめんな久実」
「り……陸也……いいの……扉をそのまま開けていて――た、助かった」
体を動かそうとするが、思うように操作できず、前屈みに倒れこんだ。
「大丈夫か! 久実!」
陸也は、倒れ掛かった私の体を、慌てて全身で受け止めた。だがそのせいで、また暗闇に舞い戻った。
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