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「なんだよ、これは! 放せよ! なんでこんな眼に遭わなくてはならないんだ! 僕が何をしたっていうんだよ!」
――この声は……茂?
眼がぼやけ、視野がはっきりしない。まだ頭も、くらくらとしていた。
――なんのガスだったんだろう。催眠ガス?
不吉な予感が暴走する。
――早く、体を起こさなくっちゃ……
前屈みに体を起こそうとすると、お腹、右手首、左手首に鉄の金具のような手ごたえがあった。
「久実ちゃん、陸也、早く助けてくれよ! 陸也! 起きろ!」
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