憩(イコ)い-2

2/28
2607人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
車に乗り込むとアイツの風呂上がりの匂いが車内に広がった。 この匂いで密室はヤバイと思いながら、その香りを手放したくなくて、窓も開けずにそのままアクセルを踏んだ。 「…社長、どこに行くんですか?」 「……。」 「社長?」 「…お前さあ、今、俺、プライベートを満喫してんだけど。…その“社長”っての、やめろよな。」 俺がそう言ったらアイツはいつもの勘違い。 「…あ、あ。すみません。そうですね、たまには“社長”から解放されて、プライベートを満喫したいですよね。…お休みも少ないし…。あ、あの、じゃあ、“渉さん”でいいんですか?」 「好きにしろ。」 俺もうれしいくせにこの返事。 「…ところで…どこに向かってるんですか?」
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!