2607人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
車に乗り込むとアイツの風呂上がりの匂いが車内に広がった。
この匂いで密室はヤバイと思いながら、その香りを手放したくなくて、窓も開けずにそのままアクセルを踏んだ。
「…社長、どこに行くんですか?」
「……。」
「社長?」
「…お前さあ、今、俺、プライベートを満喫してんだけど。…その“社長”っての、やめろよな。」
俺がそう言ったらアイツはいつもの勘違い。
「…あ、あ。すみません。そうですね、たまには“社長”から解放されて、プライベートを満喫したいですよね。…お休みも少ないし…。あ、あの、じゃあ、“渉さん”でいいんですか?」
「好きにしろ。」
俺もうれしいくせにこの返事。
「…ところで…どこに向かってるんですか?」
最初のコメントを投稿しよう!